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「百花繚乱」

横山横山
 今年の冬の寒さは格別でしたね〜。年と共に厳しく感じた冬でした。寒さのせいで、梅の開花が遅れ、やっと咲いたと思ったらその後の暖かさで、何と桜も咲き出しました。

“梅祭り”、“桜祭り”など、イベントを企画される方は日程調整にさぞご苦労されていると思います。事務所近くの桜もチラホラ咲き出しました。あちこちで、梅と桜と、何なら桃などが一緒に咲いていて正に“百花繚乱”、幸せな気持ちになります。

でも、こんな季節には、以前雑誌で見つけた『後拾遺和歌集( ごしゅういわかしゅう)』の
「梅が香を 桜の花に にほわせて 柳が枝に さかせてしがな」という歌を思い出します。

意味は、そのまま( 梅や桜、柳、それぞれの良いところを集めた植物があるといいなあ〜 ) で・・・
 
梅の香りは語るまでもありませんし、色も白、ピンク、赤と豊富で、一輪一輪の花もとても可憐です。
が、一面桜色の世界は何ものにも替え難く、艶やかさ、華やかさで、やはり軍配は桜でしょうか?
柳の葉の緑や枝は優雅ですし・・・。

“なんと贅沢な”と言うか、“いいとこどり”ですね〜。 家づくりでもしばしば、ある事です。

何せ、家づくりは、一世一代の大仕事なので、大抵の皆さんは、梅や桜はもちろん、薔薇や蘭・・・・・・と、イメージを最大に膨らませていらっしゃいます。当然ですよね〜。長年の夢の実現ですから・・・。

でも、歌のように長所ばかりを寄せ集めて一本の木にしても、最高とは限りません。
梅は梅、桜は桜、もちろん柳は柳だからこそ、良いという事がしばしばあります。

池田住宅では、着工までにお打ち合わせ期間が、平均半年位かかります。(長い方は一年位)スケジュールをお伝えすると「えっ、半年も・・・?」とおどろかれます。皆さん、夢を実現した、新しい家に早く住みたいという、はやる気持ちですからね。

ですがこれは、皆さんが思い切り膨らませてこられたイメージを少しずつ整理していただく頂く、とても重要な期間です。

実物が目の前にあって、これはどうしましょう?とお話しするなら、楽なんですが、見慣れない図面で、幅や奥行き、高さといった空間をイメージして頂くのはとても難しい事です。
ついつい“あれもこれも”と詰め込みたくなってしまいます。

その“あれもこれも”が本当に必要かどうか?、もちろん予算内に収めなければいけませんし、取捨選択のお手伝いをするのが、私達造り手の重要な仕事です。

雑談と思えるような他愛ない話から、お客さんの生活習慣や、新しい生活への希望などをお聞きして、一つ一つ精査していく作業は、時にしんどいなと思う事もありますが、とても好きな時間です。

完成してお引渡しをした時に、「あれをやめたから、スッキリして良かった。」と仰って頂いた時に、強く感じます。

家づくりをお考えの方には、まずは、梅や桜、薔薇に蘭に・・・とイメージを思い切り膨らませて欲しいと思っています。取捨選択のお手伝いはしますから・・・。

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