家づくりで一番大切なもの
このサイトを訪れて頂きありがとうございます。
池田住宅建設代表の池田 歩(いけだ あゆむ)と申します。
突然ですが、みなさんにひとつご質問をさせて下さい。
『みなさんの家づくりにとって
一番大切なものって何ですか?』
デザイン?キッチンとかお風呂の設備?無垢材を使いたい?色々あると思います。
ここでは、私が思う『家にとって一番大切なもの』を考えてみたいと思います。

1995年1月17日という日を私たちは忘れることはありません。
兵庫県の淡路島や神戸市を中心に、多くの人命を奪った『阪神大震災』が発生した日です。
この震災による死者は6,425人、その内兵庫県内での死者数は6,394人にも上りました。まさに未曾有の地震災害でした。
私たちの事務所のある兵庫県尼崎市は、震災で一番被害の大きかった神戸市・西宮市に隣り合ったところにあり、震災時の生々しい状況を目の当たりにしてきました。スタッフの中にも、自宅が半壊になり、ライフラインのない生活を数ヶ月送った者もいます。
建物の瓦礫で通行不能になった道路。至る所で水道管が破裂して水が噴出し、ガス管から漏れるガスの匂いがそこらじゅうに立ち込めていた・・・
あの光景がいまだ目に焼き付いています。
建物に対する規定を定める法律である『建築基準法』は過去の大きな災害を経るたびに新しい規定が盛り込まれ、成長してきた過程があります。
震災は大きな教訓となり、震災直後、建築業者も一般ユーザーも建物の『構造』や『安全』の意識を高めざるを得ない時期がありました。
しかしあれから10年、耐震偽造問題によって、構造や安全といった部分が想像以上に軽視されていることが明らかになりました。しかも設計者や施工者の側のモラルの欠如という部分まで露呈してしまったのです。
震災時に家屋・家具等の倒壊による圧迫死で亡くなられた方は4.831人(全体の75.1%)にも上ります。4人中3人の方は家が原因で亡くなられています。
この事実が、残された私たちに伝えようとしているメッセージは何でしょうか?
別に奇抜なデザインの家や健康住宅が悪いと言っているわけではありません。
しかし、ちゃんとした構造があってこそのデザインであり、素材にこだわった家です。
それを忘れてはいけないのです。
住宅にとって一番大切なものとは?
『よし、構造にこだわりを持っている建築業者を探そう!』と思って頂ければ幸いです。
しかし、調べ始めると分かると思いますが、ここでもうひとつ問題があります。
それは、構造に関してしっかりと情報発信している会社さんが少ないということです。
『なぜちゃんと情報発信しないんだ!建築業者の怠慢だ!』と憤られるかもしれません。
確かにおっしゃる通りです。ちゃんとした情報発信をしない建築業者に責任があります。
ですが、一概に業者側だけを責める事ができるでしょうか?
私は家を建てようとしている側の皆さんにも原因があると思っています。
それは、家を建てようとしている方が『構造に全く興味がない』という事です。
つまり、業者側からすれば、いくら構造をアピールしてもお客さんは来ない。
『構造をアピールするより、デザインや素材をアピールするほう』がお客さんがよく来てくれる。
だから、建築業者はこぞってデザインや素材のことばかり書いてしまうんです。
『欠陥住宅なんてTVの中だけの話、私には関係ない』
と思われているかも知れません。
『大手のメーカーに任せておけば大丈夫』
とタカをくくられているかも知れません。
でもきっと、実際に欠陥住宅を建ててしまった方も同じ事を考えていたことでしょう。
私のところには、それこそ日本全国からたくさんのメールやお電話を頂きます。
その中には『家が傾いている』とか『雨漏りを何度直しても止まらない』という切実なご相談も頂きます。そういったお宅を見させて頂く機会もあります。
想像してみて下さい。
35年もの長いローンを組み、大きな借金をしてようやく手に入れた夢のマイホームが、地盤の補強も行われずに、鉄筋もまともに入っていない基礎の上に乗った、手抜き工事をされた家だったら・・・
実際に欠陥住宅を建てられた方は本当に悲惨です。業者側との訴訟や交渉で、精神を病んでしまう方も多いと聞きます。
そして皆さん同じことを言われるんです。
『なぜあんな業者を信用してしまったのか?』
でも、建ててしまってから何を言っても、もうどうしようもないのです。
こんな方を一人でも減らすため、そして何より『住宅の構造にもっと興味をもって欲しい』との願いを込めて、私たちは無料の家づくり勉強会や構造現場見学会を通して皆さんに情報発信を続けています。
おかげさまで、現在私たちの構造見学会には完成内覧会とほぼ同じぐらいの方のご来場を頂いています。これが皆さんの住宅の構造に対する関心の高さを示していると思います。
これだけははっきり言わせて頂きます。
何よりも『住宅は構造が命』なのです。
いくら体にいい素材を使っていても、いくら優れたデザインの建物だったとしても、内部に暮らす家族を守ることができないようでは、それは住宅ではありません。
家づくりの本質を分かって頂ける皆さんと勉強会、見学会でお会いできるのを楽しみにしております。
池田 歩
皆さんのご意見・ご感想をお聞かせ下さい。