池田住宅建設TOP > 平屋の家づくり 〜ニ地域居住の選択〜

平屋の家づくり

5月の土佐ツアー

昨年、約一年間に渡り“私の終の棲家論”と題して私が勝手に描くリタイア後の夢や不安を書き綴りました。

それを読んでくださった方から、「私も同じように不安に思ってるの。」「今の家を建て替えようか、マンションに住み替えようか、迷ってるんです。」などとお話しを伺う機会が増えました。

5月の土佐ツアーには、偶然にもリタイア前後といった同世代の方が10名参加下さり、やはりそんな話題が上りました。

Sさんはリタイアを機に“今まで我慢してきた寒い家”の建て替えを当社に依頼いただき、竣工が間近でした。「S家の柱や梁のふるさと、土佐の山を見に行きましょう。」とお誘いすると、引越し前でお忙しい中、ご参加くださいました。その時に佐川プレカットさんからプレゼントされた杉板は、リビングのテーブルとしてS家の一員になっています。

Yさんは二回目の土佐ツアー参加。ご主人は実家の徳島でご両親が管理できない山から杉の切り出しをされ、ご実家のリフォームを最近済まされたそうです。奥様は「子供が就職や進学で家を出て寂しかったんだけど、最近仕事を始めて元気になってきたわ。」との事、「家が寒くて何とかしたいんだけど、まだ、建て替えか住み替えか迷ってるのよね〜。」

Tさんは郊外にお住まいで、「車に乗れなくなった時の不安はあるけど、周りに緑がある環境が気に入ってるので、これは捨て難いの。」と笑顔でおっしゃっていました。

Fさんは、ご実家の滋賀県への U ターンを計画されていますが、「とても寒いので暖かい家に建て替えたい!」と話されています。

私と同じ三田にお住まいのKさんは、現在のお住まいの寒さを何とかしたいとおっしゃっています。でもKさんは、リタイア後は九州に移住しようと、すでに土地を購入されているそうです。リタイアをしたらすぐに行こうと思っていらっしゃったそうですが、お孫さんの誕生や、ご両親の事などで、少し気持ちが揺れていらっしゃるそうです。

皆さんそれぞれに、リタイアを一つの節目として色んな計画を進めていらっしゃるようです。



Kさんがご自分で何度も図面を引いて造られた“平屋”の外観。

そんな中、ホームページを見て参加下さったKさんが、リタイア後を見据えて、白浜で“平屋の家づくり”を実行されたと聞き、白浜のお宅まで押しかけてお話を伺いました。

Kさんのお宅では、マイ温泉に浸かりながら“九日月”を堪能させていただき、新鮮なお魚をたくさんご馳走になりました。

っと、しっかりお話も伺いましたので、続きは来月号で…。





平屋の家づくり

リビングにある薪ストーブ

Kさんは、土佐ツアーの2週間後に退職を迎えられました。只、同じ職場に再雇用をされたので、「退職前と変わらない生活なのに給料だけ下がりました。」(笑)と仰っていました。

阪急神戸線の駅から5分、JRにも10分で歩ける交通至便のお宅に、ご両親、Kさんご夫妻、お子さん3人の大所帯で長く暮らしてこられました。

でも転勤が多く、お子さんの就学前はご家族で、お子さんが就学されてからは、単身赴任の生活が長く続いたそうです。

「結婚してから来年で30年になるけど、半分は単身赴任でした。」

第一印象通りとてもエネルギッシュな方で、単身赴任中にも週末にはご自宅に戻られ、ご家族と、奥様とあちらこちらへ旅行されたそうです。土佐ツアーの時にも「色んな事をよくご存知だな〜」と感心しましたが、そんな経験・好奇心から生まれるものなんですね。

 そんなKさんが“平屋の家づくり”を考え始めたのは、単身赴任先から家への往復など40代では何でもなかったことが、50代になって疲れを覚えるようになり、“くつろげる場所・落ち着ける場所”を造りたいと思ったのがきっかけだそうです。

造るなら、定年退職する前、現役のうちに完成させたいと思って計画され、「昨年完成したのでギリギリ間に合いました。」とおっしゃっていました。

「よく定年になったら女房と二人で旅行に行きたいって皆さん言われるでしょう?でも私は定年になったから、『さぁ今日から二人で仲良く旅行しよう』って言っても無理だと思うんです。」

「何事も練習というか、定年後にそうなりたいなら、その前から徐々にそういう習慣をつけておかないとと思ってきました。」

確かに、うちの近所の奥さんも何年も続いたご主人の単身赴任先に、定年を二年後に控えた昨年「お互いに一人に慣れてそれに“楽さ”を感じるようになってきたので、定年後の“ずっと一緒”の前に練習にいくのよ。」とおっしゃって行かれました。


露天風呂からの景色

そんな練習(?)の旅行で、あちこち家を建てる場所を探して来られたんだそうです。

温泉好きのKさんご夫妻にとって、温泉はポイントが高く、
「本当は別府温泉が一番好きなんですけど、私達にはちょっと遠いのでここを選びました。」と白浜に決まったそうです。

Kさん宅のお風呂には少し茶褐色の温泉が引かれています。






平屋の家づくり

リビングから見たロフト。あえて個室にはせず、気配が感じられるスペースに。

 Kさんの家づくりは、最近注目されている“マルチハビテーション”や“二地域居住”と呼ばれる暮らし方の選択です。

お勤めのある日常は交通至便の阪神間で暮らし、月に1〜2度、金曜の退社時間を見計らって奥さんが車でご主人を迎えに行かれ、そのまま白浜へ向かわれるそうです。

 大きく分ければ“別荘”になるんでしょうが、団塊世代を中心に広がってきている“二地域居住”は、別荘地と呼ばれる風光明媚な場所ではなく、“普通の”生活が出来る場所に建てられる事が多いようです。

実際、Kさんも「今すぐ」ではないけれど、将来的には白浜に移住する事を計画されています。

そのための土地選びは、
〇海岸沿いや岬など海の見える景色は魅力だったけれど、駅からの距離(バス便など)を優先。
 「何でここまで来て電車の音が聞こえるとこに住むんでしょう?」と苦笑されていました。
〇病院が近くにあり、シャトルバスを出しているので便利。
〇近所に大きなスーパーがあり、大抵の物は揃ってしまう。

など実際に老後、生活をする時の利便性を優先して決められたそうです。

 またその家は、Kさんのこだわり満載の“平屋”です。ご夫婦2人の日常生活はワンフロアーで全部まかなえます。でも屋根の勾配を利用してロフトを造り、お子さん達が将来お孫さんを連れて遊びに来ても対応できるように考えられています。

この考え方には私も大賛成。普段使わない客間を1階に用意すると建物が大きくなり、建築費や維持費などが膨らみますが、屋根裏空間を利用し、毎日暮らす人は1階で快適に暮らし、たまのお客さん(特にお子さん達であれば)にはロフト空間を使っていただいたらいかがでしょうか?

家の中には、老後を見据えた部分が随所にあるんですが、一番びっくりしたのがトイレです。
約2畳の広さに3枚引き戸で大きくとった開口部、内部はもちろん車イスを考慮した造りです。一般のお宅でこれだけ広いトイレにはめったにお目にかかれません。

造り付けのように見える棚は可動式、もし車椅子が必要になったら移動する予定だそうです。

介護の仕事をされていて、実際の状況をよくご存知の奥さんの意見が多く取り入れられているようですが、トイレと手洗の間に可動式の棚を置いて、いざという時まで、広すぎて落ち着かない(Kさん談)トイレをカバーしているんだそうです。

因みにこの奥さん、美容師、調理師そして最近とられた介護福祉士の資格をお持ちのすごい方で、いただいたお料理のおいしさ、手際の良さに納得です。




平屋の家づくり

ロフトから見たキッチン。カウンターに立つと、家中全てが見渡せる。
 “二地域居住”を選択されたKさんの“平屋の家づくり”、こだわりや工夫をご紹介していますが、その続きをもう少し・・・

Kさんのお宅は、対面キッチンを家の中心に備え、そこに立つ奥さんが、家の全てを見渡せるように造られています。そしてそのキッチンは、小柄な奥さんに合わせて、通常の物より低く造られたオーダーキッチンです。

初めてキッチンを見た時から、「この家は、奥さんのために建てられたんだな〜。」と感じていました。

それを裏付けるように、「この家は女房の甲斐性で建てたんです。女房が、両親と同居してくれたんで、いらん家賃を払わずに貯金が出来ましたから・・・ 形が出来上がったところへ後から入って頑張ってくれたんで、女房の思うように彼女の居場所というか、家を造ろう、と思ったのも動機だったんです。」とご主人。

ただ、あまりそれを言うと奥さんが負担に感じるんじゃないかと、それとご主人の照れも手伝って、そっと教えてくださいました。

 もちろん、奥さんのためだけでなく、ご主人のこだわりも随所に見られます。
その一つが薪ストーブ用の“薪置き場”。Kさんの思い描く“田舎の平屋”には無くてはならない物だったそうです。

 もう一点驚いたのが、この家はお葬式を出す事を想定されているんです。
Kさんは“最期は家から”と考えておられ、襖や障子を外すと大きな空間が生まれ、弔問客の動線を考えている日本家屋の、良い点をこの家にも取り込みたいと思われたんだそうです。

確かに、畳は敷き詰められていませんが、引き戸を開けると大きな空間が生まれ、玄関からバルコニー、庭を回って玄関横へと弔問客が回遊できるようになっています。
30〜40代の方と家づくりをさせていただく事の多い私には、“家”に対する捉え方の新しい発見でした。

 そしてお話の最後には「実はまだこの家では熟睡できてないんです。くつろげる場所を求めたんですけどね・・・(笑) 
それと、私自身、阪神間の便利さを捨てられるか、正直、腹を括れてないんです。
女房は大丈夫のようですが・・・(笑)」と本音も少し漏らしてくださいました。

玄関脇の薪置き場。屋根は、杉の皮。Kさんの描く“田舎の平屋”にとっては、必需品とのこと。
先の事は、まだ分からない部分もあるようですが、当面は奥さんとご一緒に白浜を充分に楽しまれるようです。

皆さんリタイアを機に色んな計画をお持ちだと思いますが、それぞれの事情で、実行される方はそう多くないと思います。
一足先に実行に移されたKさんのお話は、とても興味深いものでした。皆さんいかがでしたでしょうか?

Kさん、長時間、お話を聞かせて頂きありがとうございました。




池田住宅建設TOP > 平屋の家づくり 〜ニ地域居住の選択〜