〜ゼロエネルギーハウス （ＺＥＨ）に物申す〜
皆さん、こんにちは！ 池田です。
寒くなりましたね〜、つい先日まで最高気温が20℃以上なんて日が有ったとは、信じられません。
今年は、ラニーニャ現象？ で寒い冬になるとか・・・これは辛い！
という事で、今月は断熱のお話です。
昨年あたりから、国が本腰を入れて住宅の省エネルギー化を提唱し始めて来ました。
今回は本気度がかなり高いです。
2020年までに、今後建てられる住宅の50％以上をゼロエネルギーハウス（通称ＺＥＨ）にする事を
目標として、取組みなさい！ というお沙汰です。（笑）
住宅の断熱レベルの強化、サッシやガラスなどの強化、太陽光発電の推進等々、盛り沢山なんです。
この本気度のお陰でしょうか？
私達の業界（住宅関連産業）では、毎日何処かで・・・と言って良い程、
“ゼロエネルギーハウスとは・・・”みたいな講習会が開かれています。
そこで、早速3回程、色んな開催先に出向いて勉強してきました。
ところが・・・
結果から申し上げると、やはりと言うか、何の勉強にもなりませんでした。（笑）
とにかく、住宅関連産業等の団体は、工務店との面談機会（ビジネスチャンス）が目的なので、
国が掲げるゼロエネルギーハウスの趣旨とは、どうもずれているんです。
講義の内容は、
「どうすれば国が提唱するゼロエネルギーハウスを建てる事が出来るのか？」この点に注力されていて
「ギリギリの基準クリアラインはどの程度？」という話ばっかりです。
「どのようにすれば快適な住まいとなり、資産価値と耐久性が増す家になるのか？」
には、一切触れられていません。
つまり、建てる側に都合の良い情報（コスト上昇のみ抑える方法）は教えてくれても、
高気密、高断熱化を進める上で、住まい手に必ず伝えなくてはいけない、“住まい方”については
どこの機関でも、どんな講師も、それを語ってくれる事は無いのです。
例えば、建物全体の断熱性能を上げるのに、一番難しいのは、ガラス部分になります。
という事は、性能を上げれば、サッシとガラスのコスト上昇が激しくなります。
壁、床、天井の断熱性能を上げるのは、厚みの問題になってくるので、コストアップにはなりますが、
負担が比較的少ないのです。
おかしな事に、コスト全体の中で上昇率が激しくなるサッシ、ガラス部分のコストを抑えるために、
断熱材の厚みを上げたり、太陽光パネルの搭載面積を増やすと、
計算上は、国が提唱するゼロエネルギー基準をクリアする事が出来るのです。
「それがダメなの？」 「ダメです！」
これは、補助金の対象基準に合致させる事だけ？ が目的であれば、ＯＫなんです。
しかし、実際にお住まいになると新基準の断熱された住宅なのに不快に感じます。
不快の原因は・・・
� 〜觝櫃剖瓩鼎�と、冬は冷気を感じる。
�◆‥澆亮柴發�乾燥し過ぎる（過乾燥 かかんそう）
�，両豺腓蓮�部屋の暖房設定温度を上げたくなります。しかし、暖房設定温度を上げれば、上げる程、
窓からの冷気は更に強くなります。
�△両豺腓蓮△修發修癲�高気密、高断熱化した住宅の冬は過乾燥になり易いのですが、窓の性能により、その過乾燥が更に進みます。
そのために加湿器を利用する方が多いのですが、加湿器に頼りすぎると、
今度は結露が発生し易くなり、カビの原因となります。 と、住む人の気持ちは優先されていないのです。
これは、長い間に渡って、高気密、高断熱住宅に取組んで来た私達にはよく分かるのです。
上記��+�△蓮△�引渡しした後にＯＢ様に言われ続けた事なので、身にしみて、“この断熱ブームは危険”と感じてしまうのです。
高気密、高断熱住宅で一番大切なのは、【バランス】です。
そのバランスを保つために、一番大切なのが『窓』なのです。
コスト上昇となっても、ここは譲れないのです。いえ、譲ってはダメなのです。
バランスを保つ上で重要なのは、窓だけではありません。換気もとても重要になります。
しかし、換気についても、ほぼ、“制限無し”です。
大手ハウスメーカーさんも、地元工務店も、今はどこもゼロエネルギーハウスだらけですが、
この先どんな事になるのだろうか？ と、とても不安です。
建物としては、欠陥では無いけれど、住み手の立場で考えられていない政策が、
本当の快適さを求めている消費者さんを裏切る結果にならなければ良いのですが・・・
と、私が勝手に心配しているのですが、（苦笑）
世の中の建物が省エネルギー化に進む事については、基本的に大賛成です。
今後は住まい方についてのアドバイスやセミナーを増やしていきながら、
少しずつでも、理解を深めて頂けるように、今まで以上に努力が必要になるような気がします。
