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メリット通信2008年4月号

『施主日記』のH様邸が完成しました!!

‘06年8月、御自分で引かれた図面を携えて事務所を訪れていただいて以来1年8ヶ月、ついにHさんのお宅が完成しました。

池田住宅がプランを提案する一般的な形ではなく、Hさんの頭の中にあるイメージプランを池田住宅が具体化していくという今回の経験は、当初、お互いに戸惑いを覚えながらのスタートでした。でも、ゆっくり時間をいただいたおかげで、何とか形になりました。

建築中のお客様に進捗を連載でお願いする、ちょっと無茶な企画にも毎月きっちり、スタッフよりも早く原稿を送ってくださったHさん、お疲れ様でした。毎月スタッフの原稿が揃わず苦労しているメリット通信編集長としては、感謝、感謝です。本当にありがとうございました。

Hさんのこだわりが随所に見られる建物をほんの少しですが、ご紹介します。

エコ住宅 Hさんのこだわりをほんの少しご紹介


『施主日記』

春の陽気と共に、先日池田住宅さんから完成引渡しを受けました。
私達夫婦、雨男雨女にしては不思議にもポカポカ暖かい良い日和になりました。

住宅はモデルルームではありません。きれいに飾りたてる事は容易なことですが、そこに生活感や人の気配がなければ本当の住宅ではないと思います。私の次の課題はこの家をどう使いこなすかという事です。住み心地は住む人間が築き上げることで、設計が良いとか悪いとかはオマケの部分だと思います。(計画した人間が言うと言い訳に聞こえるかもしれませんが…)この先家族と共に年を取り、歴史を刻んでゆくパートナーが1つ増えました。
2008年3月のこの日は、我が家の大きな出来事として思い出に残ることでしょう。

私達の家づくりを誠心誠意いつも誠実に対応し、サポートして頂いた池田住宅さん、本当にありがとうございました。こんなに理想にピッタリの工務店と出会えた私達は幸せ者です。
面と向かって言うと涙が出そうになるので、この場をお借りしてお礼申し上げます。
さぞかしやりにくい客だったと思います。どうか大目に見てやってください。でも本当のお付き合いはこれからだと思っていますので、今後共末永くよろしくお願いいたします。

また、メリット通信の読者の皆さん、昨年の9月号よりこのスペースを占領してしまうことになり、さらに拙い文章で好き勝手に書かせて頂き、読み辛い点多々あったことと思います。失礼をお詫び申し上げますと共に、今までお付き合い頂きありがとうございました。大変良い経験をさせて頂きました。締切日が近づく側の気持ちが身にしみました。

家の不具合は、工務店だけの責任ではありません。使い方に問題が有ることも多々あります。「メンテナンス」と大げさなことは言わなくても、常日頃家に向ける関心が早期の発見につながるのです。何にでも前兆はあるはずです。どうか皆さん、家と対話してそのサインを見つけてあげて下さい。高い買い物をさせられたのか、良い買い物をしたのかは、すぐに答えは出ないと思います。

建築は10人いたら10種類の設計が出来上りまったく同じ答えはありません。そこに住む人を加えれば更に無限に広がります。そこが建築の面白くもまた難しいところでもあります。
日本では理数系の分野とされていますが、建築ほど非科学的なモノは珍しいと思います。
確かに構造計算や材料試験等は、まさに理系の世界です。
でもそれはあくまで部分のことであり建築全体のことではありません。
欧米では建築士(家)は医者や弁護士と肩を並べる地位にあるそうです。芸術と工学の間を取り持ち、そこに人間を住まわせる橋渡しをしている訳です。当然社会的責任もついてまわるので、モラル等もその地位レベルにあるはずです。日本の建築界もそうあるべきだと思います。

何でもありのやりたい放題。もうこれ以上街の粗大ゴミを造ってはいけません。それは造る方にも造らせる方にも言えることです。

真面目に確固たる理念をもち、地道にやっている小さな工務店がもっともっと評価される世の中になることを祈っています。

「私はやっぱり建築が大好きです。」

おわり


特注金物大好き・納まりにこだわる 現場監督 軒
(軒)

H様邸の引渡し前のバタバタ

3月の中旬に、無事、H様邸をお引渡しする事ができましたが…

お引渡し日が近づくと、現場はバタバタと忙しくなります。バタバタ忙しいと、建物に傷が付いたり、間違えて取付けしたりミスが起こりやすくなります。

玄関ポーチ部分

H様邸の玄関ポーチ部分は、洗い出し(※注1)で仕上げたのですが、その仕上がりがすごく気になります。

玄関アプローチに錆ミカゲ石を使用するので、いつも使っている玉石ではなく、Hさんと一緒に錆ミカゲ石に合わせて洗い出しの石を決めました。

だからこそ洗い出しが気になるのです。凄く気になるのです。

軒  『Nさん(左官屋さん)、洗い出し気になるねん』
左官屋『軒さんやったら気になってると思ったわ、だからわしは、いつもの玉石で行こうって言うたんや。』
軒  『Nさん、気になるわ。』
左官屋『で、どうする?』
軒  『気になるから、やりかえてくれる?』
左官屋『「気になる」「気になる」て、ずっと言われるのいややからやりかえますわ。』

左官屋さんは、引渡し日が近づいているので早速次の日の土曜日に、ハツリ機で洗い出しをハツリ壊し、やり変えの段取りをしてくれました。

が 、このハツリ機の騒音が、近隣からの苦情を受けることになりました。
8月の解体工事から2月まで苦情の電話がなかったのに、引渡し間近になってやってしまいました。

原因は『休みの度に、音の出る工事をやっているように思うけど、もうちょっと気を使って仕事してくれませんか?』
左官屋さんに『何時からハツリ機動かした?』と聞くと『8時まで待ってから動かしたで…』

昔から建築の業界では、8時までには現場について仕事の段取りをして、8時から仕事を開始するような習慣になっていますので、まったく悪びれた様子もありません。

多分、日曜や、祝日ならハツリ機は使わなかったでしょうし音が出る仕事はしませんでした。でも土曜日なのでいいと思ったようです。

しかし、今は昔と違って土曜日も休みの人が大半なので、ハツリ機を使うにしても10時位から使うなど、もっともっと近隣の皆様に気配りできるよう業者に徹底しなければと思いました。

又、引渡しは、もっと余裕もってバタバタしないようにしたいです。


池田

同居か?建替か?

皆さん、こんにちは!池田です。
雪ばかりの 2 月が信じられない程の暖かさになってしまいました…。
寒さと暑さに強い、外断熱の地熱住宅を建てている私達には、しばらく静かな日々が続きそうです。(少なくとも梅雨までは…)

突然ですが、母(実母)との同居がもう間もなく始まります。
長年拒否し続けた母がなぜ?私達夫婦との同居を決めたのか?

理由は単純です。それは、継続的ではなく半年から1年未満の一時的なものだからです。この一時的同居でさえも、かなり抵抗があるようで、未だに…

母 「半年ちょっと位でも、耐えられるかどうか?」
私 「何が気に入らんの?」
母 「全て!」
私 「全てって酷いな〜 具体的に言うて見て?」
母 「そんなん、生活習慣から子育てまで、いたるところやわ! 時代が違うんやから当然やろ?だから、あんたらが悪いわけ違うんよ。仕方ないやん。」
私 「だから、気に入らん事は言うたらええやんか。そやないとストレス溜まるで…。」
母 「私が言うたら、あの子(妻)がストレス溜まるから結果的には一緒やわ!当分、あんたがしんどいで、しっかりしぃや!」
私 「俺がしんどい??それは困るな〜 でもな、物は考えようやで。心労になるほどのストレスはあかんけど、少し位のストレスは生きがいにもなるんと違うか?」
母 「そんな勝手な話、どっから聞いてきたん?』
私 「いや!別に誰からも聞いてへんで。ただ、親父が死んでから人に頼られる事が少なくなったからやと思うけど、昔みたいに元気ないな〜 思うて…。」
母 「元気がのうてあたり前。あんた!お母さん何歳や 思うてんの?」

というような会話をいつも繰り返しているのですが、次第に母の口調が厳しくなり、気が付けば、親子喧嘩に…(苦笑)

確かに同居しない方がお互い気楽かもしれませんが、一人ってのも心配だし…
「もっと気楽にできないものか?」っていつも考えています。

ただ、母の家の建替が、この梅雨明け位から始まる予定(あくまで予定ですが)にしているので、完成したら“同居”と“新居での一人暮らし”とを交互にすれば…?
なんて思っているのですが、母にすれば『そんな贅沢出来るわけないでしょ』と一言。

私にすれば『少しぐらいの贅沢はいいんじゃないの?』と思うんですが、私と違い倹約家の母には通用しないようですね。

池田



設計アシスタント 木場
設計アシスタント 木場

―演奏会、行きました。―

スタッフブログにも書きましたが、先日バッハを聴きました。新約聖書を題材にした宗教曲です。全曲を通して、誰かが誰かを裏切ったり、信じていたりします。
あくまでバッハの作曲した音楽作品のストーリーとしての知識しかありませんが、聴いてて、登場人物(達)に対して、ついてへんよなあ、ひどい奴だ、何してんねん、と非難の表明。

まてよ、でももし自分がその場に居合わせたらおんなじようなこと言ったり、保身のためにひどい事だってするかもしれない。
「だからゆったやんけ!」やれ「おまえのせいだ!」「責任とれ!」等々…

途中、合唱のところでドキッとします。眩暈したときとか、後頭部、殴られて視覚がガクンッとずれたような…
(経験はありませんが予想でです。)

さっきの怒りの耳引っ張って連れ戻し、一緒に頭を下げてまわらないといけないくらい、反省。そういえば小学生のとき、顎を突き出して、「あほってゆうやつがあほや」と口癖のように言う人がいました。

まっさらのキャンバスを切り裂いただけで完成、とか既製品の便器に署名して「俺が署名したんだからもう俺の作品だ。」
そういう現代美術とちょっと似てる。

説明→理解ではなく、直感的でダイレクトな気付き。創作というより発明。発想の転換。
違うのは現代美術だとふつう1回だけしか効かないところ、(2回目以降はどんな斬新な作品も単なる知識になってしまうように思うので)バッハに限らず、すんごいのって自分の中から(ゴマやにんにくの宣伝みたいですが)内側から効いてくるみたいで何回でも効果が持続。
ブレヒトの異化効果とかにも近いかもしれません。

“腹が立つ時には、自分が(自分は)正しいと思ってる。”というのをどこかで読んで、あーっ、と思ったのを思い出します。(誰でもはまる罠みたいで、そんなん言われたら正直な人には否定のしようのない、検証不可の一文、フェアじゃないような気もします。)

自分だけが、自分とこだけが絶対正しい、っていうのはまあ普通ないんだろうなあ、という結論。
でもここで、あと一行のここまで書いて、「それないわ」って言われたら、感情的になってしまうかもしれません。


藤田藤田

チラシ配り

池田住宅では工事の前や工事中に、チラシを配ります。チラシと言っても営業のチラシではありません。工事に伴うお詫びとお知らせのためのチラシです。

例えば、解体、地盤改良、基礎工事、足場組立、上棟、外構工事、電気や給排水工事等のご挨拶があります。いつ、どんな工事があって、その工事によってどういうことが起こるのか(騒音・振動・工事車両の出入り・通行禁止など)をお知らせします。工事の場所や進捗状況などもお知らせしています。

そのチラシですが、現場監督や私がチラシを作って配りに行きます。チラシを配りに行くたびに思うことがあります。
「私、なんかちょっと、怪しくない?」と・・・
自意識過剰なのかもしれませんが、私がそんな人を見かけたら間違いなく怪しむと思います。

決して、悪徳業者が高齢の方のお家を狙って、愛想を振りまき孫のように近づいて「おばぁちゃん、これ、危ないからやっとくよ」とか言って役に立たない必要のない工事をしようとしている訳ではないのですが、それにしても・・・
きっと怪しまれているに違いない!と思います。

それでも、このチラシを配らないことには近隣の皆さんに事前の工事予定をお伝えすることが出来ずご迷惑をお掛けしてしまいます。近隣への配慮を怠ると、クレームという形になります。その結果、お施主さんの立場を悪くしてしまします。

そんな葛藤の中、私はチラシを配ります。時にはポストに入れ、時には偶然出くわしたお家の方に説明しながら手渡し、時には笑顔で挨拶。(怪しまれないようにと挨拶するのですが、「誰やねん?」と思われているはず!)

しかしこのチラシ配り、どこまで配れば良いものか、いつも悩みます。両隣はもちろん、お向かいさんと裏のお宅と向こう三軒までは良いとして、あとはだいたい1ブロックを区切りの目安として、少し多めにチラシを刷ってそれが無くなるぐらいまで配るようにしているのですが、それがなかなか上手く行かないときもあります。

もしご近所さんで「あそこ工事するのね」「あら?そうなの?私知らなかったわ」と揉めたりしたらどうしよう…と考えてしまいます。その結果、あっちも配りこっちも配り、おっと、こっち配るのならあっちも配らないと…と同じところを何度もウロウロしてしまい、余計怪しい存在になるのだと思います。

もっと計画して配れたら良いのですが、何故か出来ない。地図を見て計画しても実際に行くと地図と違うかったり、地図が読めなかったり、ポストがどこにあるか分からなかったり(悩)

でも、日頃の運動不足をここぞとばかりに解消させてもらってます!
きっと全然解消されてないのだろうけど。。。


横山横山

中野さんの家づくり

中野さんのお宅が完成し、3月末に無事お引渡しを終えました。
奥さんや息子さん、娘さんには何度か工事中の建物内を見ていただく機会がありました。

室内をご覧いただのはこの日が初めてです

でも、中野さんに室内をご覧いただのはこの日が初めてです。中野さんをお待ちする間、現場監督の井元もお打ち合わせをしてきた軒も私もドキドキです。

まず玄関前のスロープは?
奥さんがゆっくり押して上がってこられます。「幅も広いし大丈夫よ。」 ホッ…。

やり直した問題の玄関上がり框は?
大丈夫。良かった!!この框部分は、普通に木で仕上げていますが、ステンレス等の金物で補強した方がいいかどうか皆で悩んだところです。


次々と確認していただきました

洗面所は?お風呂は?トイレは?
はやる気持ちを抑えて、次々と確認していただきました。

入浴用リフトを設置するので、少しでも広いものをと、各メーカーからカタログを取り寄せて選んだお風呂は、車椅子で入っても余裕です。

トイレ・洗面所・洗濯機置き場はドアや壁で仕切らず車椅子が通り易いスペースを確保しましたが、車椅子からトイレへ移る時に補助をされる奥さんがつかまる為の手スリを付ける事にしました。

中野さんのお宅には階段以外前もって手スリを設けることはしていません。実際に動いていただいてから必要な物だけ付けようと決めていました。不要な物をつけてしまうとその分だけ出っ張って狭くなってしまいますから…。

中野さんの現在のお住まいは一般的な間取りなので、一日のほとんどをご自分の部屋で過ごされています。今回、中野さんのお部屋とLDKには、広めの引き戸を設け、ご自分で自由に行き来してもらいたいと思っていました。


車イスでの家づくり

昨年の5月にお会いして以来、中野さんが奥さんの手を借りずご自分で車椅子を動かして移動していらっしゃるのを見たのは初めてでした。何よりうれしかったです。

2階にも息子さん初め皆でお連れし、ゆっくり見ていただきました。

来月は、いよいよ、入浴用リフトの設置が行われる予定です。


(つづく)


野球大好き・力じまんの現場監督 井元
野球大好き・力じまんの現場監督 井元

―下請け制度―

朝日新聞のインターネットにコラムコーナーを持っている建築家の記事に、こういうのが載っていました。

http://www.asahi.com/housing/amano/TKY200802160169.html

〜略〜 こんな奥深い複雑な設計図をもとに、実際の家をつくってくれる大勢の人が居ます。規格化された家やマンションにはない、オリジナルな空間づくりをしている大工さんや職人たちが今、 大変な危機に瀕しているのです。これは中小設計事務所はじめ工務店、さらにはその下で働く大工さんや左官さん、あるいは鳶(どび)やタイル職人など、もともとマクロな産業の対象とはならなかった数え切れないほどの数の職人たちが、今消えて行こうとしています。昨年6月の改正建築基準法の施行に伴う確認許可の滞りで半年以上も着工が遅れ、もともとわずかの蓄えしかない中小工務店や建設会社、その下請けなどの相次ぐ倒産や破産によって支払いが止まり、廃業せざるを得なくなっています。これは同時に伝統技術や文化の喪失とも言えるのです。〜略〜。

本当にその通りです。僕たちの周りでも同じことが起きています。本当に腹がたって仕方ないです…。

また先日、朝日新聞に、「小嶋ヒューザー社長 有罪」の記事が載っていました。「建築確認の厳格化」のきっかけになった「耐震偽装事件」に一応の決着がついたようです。

もともと、この「建築確認の厳格化」は、この「耐震偽装事件」の再発防止が本来の目的でした。それが、住宅着工数のかつて無い減少を招いたため、いつのまにか本来の目的がどこかへ行ってしまい、住宅着工数の回復に主眼が置かれてしまっている…。実際の現場を見ていると、そうとしか思えないのです。

不動産会社(ヒューザー)は、厳しい値段で建設会社に建築を依頼する。→建設会社はコストダウンのために、無理な構造設計を建築士(姉歯)に依頼する。→建築士は駄目だと分かっていても、自分の生活のを守るために耐震偽装をする…。

こういう「建築業界の下請け制度の仕組み」自体に大きな問題があるんじゃないのかなと…。一般的な建売住宅の仕組みにも同じことが言え、不動産会社は販売価格を出来るだけ安くしたいため、下請けの工務店に根拠の無い安い値段で建築を依頼します。工務店は仕事を貰うため、仕方なしに仕事を請ける。

場合によっては、さらに安い値段で孫受けに丸投げする。安い材料を使い、人件費を抑えるために極端に短い工期で建築する。(建築基準法では、建築工事の一括下請けは禁止されています。が、現状は違います…。)

この「建築業界の下請け制度の仕組み」自体を改正しないことには、耐震偽装や欠陥住宅はなくならないだろうし、「本当の改正」とは言えないのではないかと思うのです。

今年、来年と続く改正が、「本当の改正」であることを願っています。

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