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『屋根勾配(やねこうばい)』

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これが屋根勾配。3寸勾配の屋根の絵です。このように『○/10』という書き方で表します。
『屋根勾配(やねこうばい)』は屋根を仕上げるときの角度のことで、屋根の傾斜の度合いを示すものです。

屋根勾配を表す時には30°とか60°とかの『角度』は使わずに、4寸勾配(4/10)とか6寸勾配(6/10)というように、底辺を10としたときの高さを表す特殊な角度を使用します。

なんでこんなことをするか?というと、屋根勾配を角度で決めてしまうと家を造る際にとても面倒なことになるんです。


屋根を支える梁である『棟木・母屋』の取り付け高さは、この屋根勾配によって決まってきます。

その際に、屋根勾配が4寸勾配であれば4/10、つまり水平に10移動すると、垂直に4上がるといった具合に高さを簡単に計算できるので、現場での作業(設計時もですが)がとてもラクになるんです。


ちなみに4寸勾配屋根の3mの位置での高さを求めるには・・・


3m(水平距離)×0.4(屋根勾配)=1.2m(その地点での高さ)

つまり、3m地点で屋根は1.2mの高さになっている、ということになります。

ところが屋根勾配を『角度』で決めてしまうと、昔、学生のときに習った『tanθ(タンジェント)』を使わなければ屋根の高さを調べることが出来なくなってしまう、というわけなんです。


で、屋根勾配によって何が変わるの?という話ですが、まず勾配によって使える屋根仕上げの制限があります。
これは屋根勾配が緩いほど、防水性能の高い仕上げ材にしないと雨漏りの危険性があるからです。

ちなみに和瓦や洋瓦では4寸以上カラーベスト(スレート)で3寸以上、2寸以下にしようと思えば防水性能の高いガルバリウム鋼板葺きなどにする必要があります。


また屋根勾配によって外観イメージもかなり変わってきます。
6寸勾配を超えるとどちらかというと『洋風』な感じが強くなってくるので、私たちは『3寸勾配』をよく使います。シルエットがすっきりしてキレイなんです。
(地熱住宅モデルハウスも3寸勾配になっています)


ちなみに各屋根勾配の家を写真で見てみるとこんな感じ。

<3寸勾配の場合>

<4寸勾配の場合>

1寸勾配、片流れ屋根の家


←左のパースは現在建築中の家。
ガルバリウム鋼板葺き、1寸勾配の屋根になっています。

斜線制限をかわすために、涙ぐましい努力をした結果です。

でも片流れ屋根は1寸勾配がキレイ。努力した甲斐が・・・

家を既に建てられた方、現在建築中、打ち合わせ中の方、あなたの家の立面図にはどんな勾配の屋根がかけられていますか?

もし機会があれば、なぜその勾配にしたのかを尋ねてみると面白いかも。
デザイン・構造・屋根仕上げの問題のみならず、道路斜線北側斜線などの法的制限によって決められている場合もあるので、設計者の色々な苦労話が聞けるかも知れません・・・


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September 26, 2005 6:45 AM

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